その時だった。

――ガラッ

教室のドアが開き、輝くんが入って来た。

朝練の後だからかな?

短い黒髪が濡れていて、ドキッとする。

モテるのに誰も近寄らないのは、彼がクールで無口で無愛想だから。

恭平みたいにキャーキャー騒がれないから、“彼女”のあたしからすると安心だけどね。

「だから! こうしてさ……」

と、あたしを壁に押し付けた恭平。

そして自分はあたしの正面に立ち、壁に手をやった。

「ちょっ、恭平!?」
「「キャーッ!」」

びっくりして、恭平の名を呼んだ。

でも、女の子達の声で掻き消されてしまう。