(緑涼の部屋)

「失礼します・・・。」

緑涼さんの部屋は、和室っぽい感じ。
畳と墨の香りが部屋を包む空間だった。

緑涼さんは、敷いていた布団を軽くたたむと、ちゃぶ台と座椅子をセッティング。


「どしたべ?」
「実は、数日前から毎晩ドアノブにお菓子とかお花とかが掛かっていて・・・」


緑涼さんは、私の言葉に少し小さく頷いて話を聞いてくれた。

「で、みんなにも聞きたかったけど・・・聞きにくくて・・・。それで、思い切って・・・」
「来た瞬間にドアを開けて見たら風燕だったって訳か・・・。」
「私・・・風燕さんにどうお礼を言っていいか解らなくって・・・。」



緑涼さんは少し俯いたまま。悩んでいるのがはっきりと分かる感じだった。