翌朝
美佐子が眼を覚ますと、そこに正嗣の姿はなかった。いつもとなりで寝ているはずの正嗣の姿がないことに不安で不安で仕方がなかった。部屋にも風呂にもトイレにもいない。
リビングに入ると、そこはいつもと違う空間になっていた。まるで、どこかのレストランにいるような雰囲気のする空間になっていた。美佐子の席には、金属のふたが何かを隠すように置かれていて、その両サイドにはフォークとナイフが・・・。
美佐子は、そこへ行こうとするが足元の何かに気づく。
床で大の字になって寝ている正嗣の姿・・・。
美佐子が、正嗣の口の戸に耳を傾けると、スーッという音がする。寝ていたのだ、そこで。
「も~・・・風邪引いちゃうよ(笑)」
美佐子はそういうと、自分の着ていたカーディガンをそっと正嗣の上にかけたその時・・・
「おはよう・・・」
そういって、正嗣は目をこすり、ゆっくり上体を起こした。
「おはようございます(笑)」
「起こすつもりが・・・俺が起こされちゃったし(笑)」
「本当・・・(笑)」
美佐子はそういいながら、正嗣の寝起きの顔を見ながらくすくすと笑う。
寝癖がたくさんついてぼさぼさの頭。
少し疲れた顔に無精ひげ。
美佐子はその顔をを見ながら「お疲れ様」と声をかける。
「ちょっとここで待ってて!」
正嗣はそういうと、リビングを出て寝室へ。
美佐子は、不思議に思いながらも首をかしげ、床に座ったその状態で正嗣を待っていた。