「なぁ、椿。」
風燕がコーヒーを一口飲んで問いかける。
「さっきさ、このタルトお母さん直伝って言ってたよな。」
「うん。小さいころに一緒に作ったの、お母さんと。」
その話にみんな興味津々。みんなじっと椿のいる方向を見つめていた。
「初めてのバレンタインで、お母さんと一緒にこれを作って、お父さんにあげたの。朝ごはんにこれをテーブルに置いてみんなで食べて・・・。」
「そっか・・・思い出のメニューか。」
緑涼はそうつぶやくと、コーヒーに口をつける。
「うん。お父さんには“甘いチョコ”とかより“苦めのチョコ”使おうって言いながら作ってたんだ。でも、今日は甘めのチョコ使ってるよ。」
「確かにそんなに甘くないべな。」
「大人な感じのお菓子だな(笑)」
火燐と風燕がタルトを口に入れながらそう話す。
すると、椿はにこっと笑ってこういった。