「おはよう!」
美佐子がいきなり正嗣の背中に飛びついてきた。正嗣は驚いてこけそうになる。
「お・・・おはよう(笑)」
「どう?」
ニコニコとした表情で正嗣を見つめる美佐子。その表情の正嗣はドキッとしてしまう。
「これって・・・」
「思い出した?」
美佐子がそう聞くと、正嗣は目を潤ませながらこう話した・・・。
「あぁ。椿が初めて美佐子と一緒に作ったナッツのタルト。あの時は、みんなでこうやってバレンタインのチョコ食ってたな(笑)」
「でしょ?椿がまだ小学校に入ってすぐの時に、バレンタインのことをお友達から聞いて“私も作ってお父さんにあげたい!”って。」
「うん。あのタルトはすごくおいしくってさ~・・・。」
「小さな手で必死にタルト生地作って、ナッツ砕いて・・・。」
「俺、うれしかったな~♪朝起きたらこうやって置いてあるだもん!コーヒーと一緒に・・・その日、仕事絶好調だったし(笑)」
「10年ぶりのバレンタインは、ちょっと再現(笑)」