「明日の準備でしょ?下手だな~嘘つくの。見てたら駄目か?」



にこっとしながら、美佐子を見つめる正嗣。
その眼を見ると、美佐子も観念せざるを得なかった。

「10年ぶりだから・・・驚かせたかったのに。」
「ごめんごめん(笑)」

そういうと、キッチンの方にやってきて、美佐子を抱きしめると

「楽しみにしてるよ。」

とだけ耳元で言った。

そのあと、コンロに置いてあったケトルのお湯を入れると、コーヒーの香りを漂わせながら部屋へと戻っていった。

美佐子は、ニコニコしながらバレンタインの準備に取り掛かった。