「だけど、何度も正嗣がくるんだべ、おらと禮漸に会いに。弁当とかお菓子とか持って。」


知らなかった、父親の時間の一部



「おら達と別の妖怪たちで大喧嘩になったことがあってね、なぜか、正嗣が止めに入っちゃったんだべ。大怪我してまで“止めろ”って・・・」

知らなかった事実



「そしたら“俺達家族だろ?止めて何が悪い”って。びっくりしたよ。向こうも戦う気がうせたのか、帰っていったし・・・“家族の絆”ってどんな形でも、壊れてしまっても、何度でも作り出せるって、もう一度って思えば何度でも・・・そういってたべ、正嗣。」



椿は感じていた。

今、緑涼から出た言葉が、さっき正嗣に問いかけた答えなんだということを・・・。