教会の敷地を出ようとした時、椿は、緑涼にこういった。

「私・・・もう一人じゃないって信じていいんだよね。」
「当たり前だべ。家族だろ?」
「うん。」

「正嗣に言われたことがあるんだ。」
「何を?」

「どんな形でも家族は家族で、何回壊れても再生できるって。」

「お父さんそんなこと言ってたんだ。」

「んだ。前にも言ったけど、おらは捨てられてて、何にも知らずに育ってきた。家族なんてもの知らなかったべ。だから、正嗣と初めて会った時も“何言ってんだこいつ”って思ってた。」