「椿・・・父さんな・・・あと少しで死ぬらしい・・・」

「は?いきなりなんだよ。冗談だろ?」

「いや、医者に言われた。末期の胃がんだってよ・・・」


親父はまたビールに口をつける。

「マジかよ・・・」


私の前に突きつけられた現実。


10年間、確執状態の親父と私はどう向き合うか迷った。


私には・・・親父しか肉親がいない。


だから迷った。

「父さんな・・・お前に最後は看取ってほしいと思ってな・・・今日来たのはそれだ。」

「いきなりそれかよ・・・自由に振舞って、苦しめといてそれかよ、信じらんねぇ。」


私はグラスに入ったビールを一気に飲み干した。