「じゃ、何でそれを売るべや?」
「おっ?それはあたいの仕事が意味無いとでも?」
「そうじゃないけど・・・」
火燐の言葉に、女将はこう答えた。
「これを必要としてるのも居るから、あたいは存在するって事だ。そこの子みたいに。」
キセルで禮漸を指しながら・・・
「女将・・・キセルで指さないでくれよ(呆)」
「ハハハハ・・・(笑)」
「本当昔と変わらないですね、女将。」
緑涼が、女将にそういって笑う。
「坊やもじゃないか。でも、あんたが居たから鬼の子・・・禮も変わったんだ。あの人間は?」
「正嗣は、今年のはじめに亡くなったんです。病気で・・・」
「そうかい。人はあたいらと違って寿命が短い。その分、欲や情に深い奴が多いからのう・・・で、あの子は?」
「その正嗣の娘。今は俺の娘だけど。」
「引き取ったのかい?」
「・・・俺が、みんなの親父ですから。」
女将は、くすっと笑いながらバックに行き、一つの麻袋を持ってきた。