「おはよ。」

禮漸が椿の横に座る。浴衣はきちんと直しているが、ものすごい形の寝癖はそのまま。それを気づいていないのか、普段と変わらない様子でキセルを咥える。

「朝早いね。」
「禮漸さんも早いです。」
「おっと、俺はまだ敬語?」

「どうしてそれを・・・」

「緑涼さんから聞いた。徐々に直せばいいよ。それより、今日から祭りか~。夕方からスタートだから朝は町をぶらぶらしてみよっか?」
「やった!いろいろこの街お店見てみたかったんだ。」
「じゃ、決定。ついでにいろいろ食料とかも買うか。ネットで頼めないのもあるし。」

「わくわくしてきました。」
「そっか。とりあえず、火燐に紅葉庵連れてけって言われそうだから、そこからスタートだな。」

「はい。お豆腐やさんからですね。」

縁側でそんな打ち合わせを数分間。次に起きてきたのは狐姿の火燐だった。