「椿、何してるべ?」
ふと、椿が声のほうに顔を向けると、緑涼がすぐ隣に立っていた。
驚く椿をよそに、緑涼は正嗣の手紙を見る。
「おら、そんなにのんびりしとるべか?」
緑涼は笑いながら椿にそういう。
椿は「そんなことないよ。」と緑涼に返す。
「やっと、敬語で話さなくなってきたな。おら、うれしいべや。正嗣に一歩近づけた気がして・・・。」
緑涼は、そういうと涙眼になりながら、椿の頭を優しくなでる。
「あの日言ったとおり、おらは椿の親だ。もっとしっかりしないとな。」
少し微笑みながら、椿の眼を見てそういった。
椿もあふれ出た涙をさっと指でふき取ると、にこっと笑い顔を緑涼に見せる。
「よっし!じゃ、みんなのところに行こうか。」
「うん。」
「それにしても、正嗣みんなのことよく見てるな。」
そんな話をしながら、緑涼と椿は居間に戻った。