夕方

お風呂から上がった椿の目の前には、綺麗で豪華な夕食が並んでいた。
山の幸をふんだんに使った懐石。
口に運ぶと、静かに解けていってすぐになくなる。それくらい繊細な料理だった。

ご飯が終わる頃、窓に一羽の白い鳩が止まっていた。

足に手紙をくくりつけている鳩。椿はその手紙をはずす。


「緑涼さん!」
「なしたべ?」
「お客さんがフロントにたくさん来てるそうです・・・。」
「たくさん?」
「はい・・・。」


「とりあえず、おら入ってくるわ。」


そういって、緑涼は月下楼の浴衣のまま、鳩を持って離れを出て行った。