廊下から外に出て庭を歩いていると、少し林のようになっている場所があった。椿達は、文乃の後についてその林の中をひたすら突き進んだ。

林を抜けると、そこには、昔の古民家を思わせるような建物がぽつんと立っている。


「なつかしいべな~禮漸。」
「そうっすね。」


緑涼と禮漸の会話でこれが離れだと椿は確信した。

「お食事は、夕方ごろお持ちします。お客様がこられましたら文(ふみ)を飛ばしますので・・・。」


「ふみ・・・?」


椿の頭の中は?マークでいっぱい。


それを見た風燕が耳元でこう話す。


「ここは昔のスタイルを守り続けてる旅館なんだ。だから通信手段は、伝書鳩だ。」


「伝書鳩・・・」



椿はそうつぶやいた・・・。