ノノは昨日と同じく、人形のような綺麗な顔をしていて、
声は鈴の音みたいに美しく、
そして感情なんてものを持ち合わせていないように、表情がない。
どこか遠くをみているような視線と、柔らかく閉じられた唇。
本物の人形ではないのかと錯覚してしまう程の、無表情。
彼女の内側に“こころ”というものが、本当に存在しているのかどうか、疑う自分がいる。
だけど、昨日。
庭で見た彼女の涙と微笑みに、
やっぱりノノは“人間”なんだと、当たり前のことを再確認させられる。
“こころ”があるんだと。
“生きて”いるんだと。
僕は安心させられるんだ。