「あの子が望んだんだろ?ならいいじゃんよ」
無責任にも取れる助言に僕は不安になる。
「でもさあ、」
「たぶんあの子にとって、お前がつけたものが“本当の名前”なんだよ」
また訳のわからない。
父さんは適当だから信じられないけど、なんとなく心強かった。
僕は何回も深く頷く。
「てかおまえは大丈夫なのかよ?」
唐突な父さんの質問に僕は一瞬動きが止まる。
「なにがだよ?」
「俺が言うのもどうかしてるけど、いきなり家族になれって言われ受け入れられたのか?」
その言葉に少し黙る。
だけど僕は口の端と端を結んで、父さんを見据えた。
「大丈夫だ」