―――「二階から落ちたあ!?」
心底驚いたような父さんに僕は頷いた。
「でも痛いところはないって…」
僕が少し不思議そうな声をだすと、父さんは少しだけ気まずそうに目をそらした。
「…み、見かけによらず丈夫なんだなあ。まあ、大怪我じゃなくてよかったじゃねえか!」
やっぱり何かが引っ掛かるような言葉だったけど、僕はそれに納得してしまった。
「そういえばノノって、」
「ノノ?」
今度は父さんが不思議そうにする。
「あ、なんか…。名前つけてくれて言うから、咄嗟に」
父さんはニヤニヤしてる。
むかつく笑顔だ。
「ノノちゃん、ねえ。可愛い名前じゃねーのよ」
僕は舌打ちをして顔を背ける。
いきなり羞恥心が生まれてきた。
「…あいつって本当の名前が嫌いなのか?」
「………」
「流されて名付けちゃったけど、よかったのか?」
「本当の名前かあ…」
意味深な余韻が声に持たされてある。
僕が眉間にシワを寄せると、父さんはタバコに火をつけた。