―――ノノが、




(泣いてる!!?)




僕は自分の目を疑った。



大袈裟に目元を擦ってみる、が。




やっぱりノノの大きな目からは、透明な雫が溢れ出している。




それは、彼女の少し紅潮した微を伝って、細い顎からポタリと落ちる。




一枚の絵のような、美しすぎる涙。




僕はたじろんで、どうすればいいか、機能が停止した脳に考えを巡らせていた。



そんな僕には気づきもせずに、彼女は瞼を伏せる。



「…棗」


「な、なんでしょうか!?」


「名前呼んで、欲しい」


「………」




少し遠慮しているように、足元に視線を向けたまま僕に言う。





「……ノノ」



素直に聞き入れた僕の口からは、彼女の耳によく響くように、



柔らかい声が抜けた。



なぜか恥ずかしくなってきて、僕は視線を泳がせる。



そしてもう一度ノノに視線を戻すと、