僕は体の半分以上を窓枠からぶら下げて、めいっぱい腕を伸ばした。
だけど、『のの』の体はそれをすり抜けて、まっすぐ地面に向かって落ちていく。
まっすぐ
まっすぐ
まっすぐ
“おちていく”。
僕は何もできなくて、
とても長い時間に思えた一瞬の中で、自分の無力さを呪った。
ドンッ
鈍い音が僕の鼓膜を突き破った。
それは人の身体が地面に打ちつけられた音。
僕はまたパニックになって、そんな彼女の状態をちゃんと確認しないまま部屋を飛び出した。
まさか、僕が階段を転げ落ちる勢いで駆け下りている、その間に。
君は何事もなかったように起き上がっているなんて知らずに。