ギシリ
ギシリ
不安な音で鳴く階段を、一歩ずつ登っていく。
全てを登りきって、すぐ隣の部屋の扉を開ける。
しばらく使っていなかったからか、さすがに婆ちゃんが掃除をしたみたいだった。
十畳ほどの和室。
結構広めの部屋なのに、布団と机しかない。
殺風景な部屋。
開けっ放しだった窓からは、居間と同じような風が入り込んでいる。
その風に遊ばれているカーテンは水色に白のドット柄で、この部屋では一番派手なものに見えた。
机の横に荷物を静かに置く。
僕も自分の部屋で着替えようと、扉の方へ振り返った。
「棗さま」
「うわああ!!!?」