僕はあることに気づく。
僕の頬にずっと添えられていた白い手の存在に。
「…う、わっ!?」
その手から逃れるように後ろに勢いよく下がった。
「いってえ!!」
勢いがよすぎたせいで、背中から倒れて頭を強く打ってしまった。
すごく痛い。
僕はズキズキと痛む後頭部をさすりながら、少女をみる。
何度見ても、その顔は綺麗だ。
しゃがみ込んだ体勢の彼女は、冷めた表情で僕を見ていた。
そろそろと視線を動かして、地面に触れるか触れないかの位置で静止してる彼女の手を見た。
真っ白な細い手。
それがさっきまで僕の頬を包んでいたらしい。
他人ごとのように考えたつもりだったけど、うっかり自覚してしまった。
なぜだか恥ずかしくなった。