『見てわかるだろ』



普段の僕なら、そう言っていただろう。



いつも通りの僕なら。




だけど“死にかけてる”今の状況と、そして。



頬をゆっくりと滑る、温度の低い手が心地よすぎて。




当たり前のように何も言えない。




手が触れている頬から、火照った身体が冷めていく。



広がっていくように、心臓も息も落ちついてきた。