だけど僕はとにかく苦しくて、それどころではなかった。



助けを求めたくても声は喉の奥で引っかかっている。



せめてこの不思議な少女が、誰かを呼んでくれたらいいと考えた。



だけど彼女は一歩も動かない。



彼女も混乱してるのか、それとも僕が死ぬことなんてどうでもいいのか。



確認なんてできないけど、ただなんとなく、“残酷だなあ”と思っていた。




フ、と意識が飛びそうになる。



そんな時だった。




目の前にいる人がしゃがむ気配と同時に、僕の頬に手が添えられた。




ひんやりと。



氷のように冷たい手。




「苦しいのですか」