頭上から落ちてくる言葉と、目の前の人の気配。 どちらも、どこか冷たい空気を纏っている。 『棗』 それは僕の名前。 「望月棗さまですか」 そして『望月』は僕の名字。 『もちづきなつめ』 そんな僕のフルネームを、なぜ彼女が知っていて、そしてなぜ、こんな状況で冷静に問えるのか。 不思議でたまらなかった。 こんがらがった頭の隅で、少しだけ恐怖が生まれていた。