愁side

“ありがとう”と言った楓香は、少し泣きそうな顔をしていた。


俺が初めて、楓香の歌を聴いたのは、中3の頃。


友達に薦めらて、CDを聴いてみたけど、最初は同い年だということが信じられなかった。


世間でも騒がれていて、楓香は俺の憧れだった。


そんな楓香が、同じ高校に行くなんて思ってもなかったし、ましてや、隣で歩いてるなんて考えてもいなかった。


憧れの楓香がColl Juvenileを辞めたって聞いてマジショックだった。


でも、今はそんなこと全然思ってねぇ。


大人な印象だった楓香は、意外と子供っぽくて、意地っ張りのくせに泣き虫で…。


俺は不覚にもかわいいと思ってしまった───。