「は?」

「身長も体重も、そうだね、癖とかも何にも知らない」

「お前、わけわからん。まじで」

「別に分かってもらおうなんて思ってないよ。自分でもわけわかんないもの」

「ってか、その人誰だよ。身近な人?」

「遠いといえば遠いし、身近だといえば身近。距離的には遠いかもね」

「どこがいいんだよ」

「え?」

「何も分からないんだろ」

「分かることもあるわ」

「例えば?」

「あったかいの。ほんわかする」

「それだけ?」

「それだけでも私にとっては十分よ。それだけじゃないし」

「言えよ」

「辛いとき、私が一番欲しい言葉をくれる」

「……」

「聞いたって分かんないんでしょ。私にしかわかんないよ。こんなときだけ分かろうとしないで」