「だからさ、お前はっきり言えっての」

「今、私にとっての海はあなたじゃないの」

「何だよそれ」

「大きくて、ゆったりとしてて、涙も溶かしてくれて、何もかも包み込んでくれる人は、あなたじゃない」

「…どういうこと」

どうもこうも。

「大切な人がいるの」


「…誰?」

「さぁ」

「どんな人なの」

「分からない」