「黙ってちゃわかんねぇよ。そうじゃないなら、俺にどうしてほしいわけ、お前は」

「何も望んでなんかないよ」

「じゃあ何なんだよ。別れなきゃならない理由は何?俺の非は認めるし、謝る。他に俺、どうすればいいんだよ?」

だから何もしなくていいの。

「俺を納得させるように何か話せよ」

「……」

「おい」

「海」

「は!?」

「海って、大きいよね。ここは内陸部だからさ、海って疎遠じゃない。昨日、見たの。大きくて、ゆったりとしてて、涙も溶かしてくれそうで、何もかも包み込んでくれそうな……海を」