しかし、今自分がしていることはなんだ。
盗みを働き、富を分配する。
仲間内だけで。
貧しい者に財を流したことなんてない。
それどころか、貧しき所からも盗んでいる。
「所詮、俺もこそドロなんだろ」
会ったばかりのころ、レイに言われたことを思い出す。
「義賊が正義なんて、間違ってる。どんなに正当化したって罪は罪よ。他人の物を盗んでいいわけない」
「盗まれた側のこと考えたことある?もしかしたら、大切な物かもしれない。記念の、思い出の品かもしれない。誰かへのプレゼントかもしれない」
「シオンの正義は間違ってるよ」