改めて見るこの家。
この辺りとしては、かなり立派な部類だが、南に並ぶ屋敷と比べると、まさしく小屋、というのが正しい。


「俺は、端から義賊なんかじゃなかったんだな…」

富める者から貧しき者へ。
財を流すのが義賊だと思っていた。


父は、広大な土地を所有し、建築業を営み、富を蓄える。蓄えた富で、新たに富裕層向けのビジネスを始め、成功。一方、裏では少々あくどいことをやり、貸金業をしていた。



金の亡者と呼ばれる父が嫌いだった。

だから、家を出た。

金持ちは嫌いだ。

だから、義賊を目指した。