痛む体を、全身で持ち上げる。
立ち上がったシオンは、あてもなく走り出した。


痛い、痛い、痛い、痛い


裸足の足に、石が痛い。
殴られた個所が焼かれたように熱い。


右足を前に出す度に、何かが足にひっかかる。


乱暴に手をポケットに突っ込むと、冷たい感触が指に伝わった。


引っ張りだせば、硝子の瓶。
キラリと光る白い砂。


「こんなものッ…!!」



高く振り上げた手。

しかし、力が抜けるようにだらりと下ろされた。



「…仕事だ。仕事だからだ。…だから、割らないでおいてやる」


「西7-K…Wー12か」