「お嬢様、お時間です。」

夜7時、メイクアップをして私は誕生日会の会場へ向かった。

「今日は沢山のお客様がいらっしゃります。」

「大丈夫、ちゃんとお客様の名前は全員覚えたわ。」

西園寺財閥の娘としてそれ位当然よ。

『今日のメイン、16歳になられました。彩芽お嬢様です!』

アナウンスの声が聞こえると同時に扉が開いた。

たくさんの拍手がおこる。

私は少し微笑みながら、階段を降りた。

「おめでとう!」

「おめでとう!」

たくさんの声がかかる。

その中には私に気に入ってもらおうと、お見合い相手まで連れてくる大手企業の社長までいた。

見合いなんてしないわ。

私は運命を信じるの。実は乙女なのよ。

心の中でそう思いながら、一人一人挨拶をする。