私は隣で煙草を吸っていた先生にもたれかかった。

その肩はとても優しくて、温かくて・・。

「先生も私のそばを離れないでね、一生っ」

私は冗談めかして先生に言った。

先生の顔はいつもどおり『冗談じゃない』って言っているようだった。

「ん、もうっ、先生ってばーっ」

「・・フン」

いつもの会話。

こんな時が一番たのしい・・。

先生だってつらい過去がある・・。

彩さんを自分のせいで亡くしたと思い続けて・・今でもそう思ってる。

でも決して後ろ向きじゃない・・。

いつでも前を見据えてる。

そんなつらい過去すらも大切な思い出としている先生・・。

ちゃんと先生の心の中で生きている彩さん・・。

・・素敵・・。本当にそう思う。

ちょっと焼けちゃうけど。

私もいつか・・そう、やったことは決していいことではない・・。

やってはいけなかったことだけど、それさえも受け入れられるくらいの大人になりたい・・。

そう願う・・。

「さて、と・・」

先生が急に歩き始める。

「やだ、先生どこいくの?」

そう言った私に先生は『バーカ』と言いたげな表情をして振り返った。

「帰るんだよ、お前も早く来い」

「え・・帰るって・・学校はーー!?」

先生はあきれ顔。私はその意味さえも理解できない。

「お前・・空でも見て考えろ」

「えー?空ー?」

私は空をじっと眺めた。