「だって直哉は私に嫌がらせばっかり・・」

先生は私に微笑んで話を続けた。

「お前が自分の過去にこだわりすぎてたからだろうな・・。俺や沙都に知られたくないばかりにまた同じ過ちを犯しそうなお前をみたから」

な・・直哉・・。どうして・・。

「お前もスッキリしたろ?全部ぶちまけて。直哉は沙都がお前を軽蔑して離れていかないと判断したからこそ言ったんだ」

そんな・・直哉が・・

私のこと何とも思ってなかったんじゃないの・・?

ねぇ・・

直哉・・教えてよ・・。

「でも、アイツが過去のお前にも今のお前にもやったことは絶対に許されることじゃないけどな。それがアイツのいいとこと悪いとこだ」

直哉・・私・・ワケわかんないよ・・。

私ががむしゃらに直哉のこと追っかけて好きだったころ直哉は・・どうだったの・・?

私のこと・・少しでも好きだった・・?

私自身わかんないんだよ・・・直哉のこと好きだったのか・・。

「あすか・・」

先生はいつの間にか流れていた私の涙を手で拭って・・そしてまた私に語りかけた。

「誰にだって過去の一つや二つ持ってるもんだ。お前の持っている過去は直哉のことを好きだったっていうことの結果だろう?直哉に知られたくないからこそできた過去だろう?」

私が・・直哉のこと好きだった・・結果・・。

「結局、その過去が知られても沙都はお前のこと軽蔑もしてないし、離れてもいかないだろう?・・・もう過去を気にするな・・・俺も・・お前のこと軽蔑なんてしていない・・」

「せ・・先生・・」

私は先生の言葉で乾ききった砂漠にオアシスができたみたいな気分になった。

それはなんともいえない心地よさ・・。

じわりじわりと鮮やかに・・。

記憶さえも鮮やかに・・。

直哉と築き上げた私の過去・・。

先生に恋する今・・。

「先生・・」