「そんなことないよ、傷ついてなんていないよ」

「うそっ」

沙都はすぐにセリフを吐いた。

「自分の意志でやってんだもんっ。すきでやってんだもんっ」

うそ・・うそよ、そんなの・・。好きでやってるわけない・・。

「うそよ・・あすか・・そんなの・・」

沙都は目線を柔らかく私に向けた。

「うそじゃないっ、うそじゃないもんっ」

私はそんな沙都のまなざしと意地で自分の気持ちと裏腹なことを口走っていた。

「じゃあ・・どうして・・泣いてるの・・?ねぇ・・あすか・・」

「え・・」

私・・自分でも気づかないうちに・・泣いてた・・?

涙、流してた・・?

もう自分自身で抑えられなくて、溢れ出して・・泣いてた。

一人で抱え込むのが苦しくて・・そんな私に普通に接してくれている沙都を見てたら悲しくて・・申し訳なくて・・。

「あすか・・何悩んでんの・・?何・・苦しんでんの・・?言ってみなよ、私に・・」

沙都・・もう・・ダメ・・これ以上沙都を見てると甘えてしまいそうになる・・。

こんなんじゃダメなのよ・・私・・。

沙都と先生だけには・・軽蔑されたくない・・。

「ごめんっ、沙都っ」

私はその場から・・沙都から・・逃げた。

走って電車に乗り込む・・。

「待って!あすかっ」

追いついてきた沙都は間に合わず私はホームにいる沙都の顔を窓ガラス越しに見る。

沙都は一度・・下を向き、そして正面を向いた。

私に向かっていつもと同じ別れ方をする。

そんな沙都の顔からは『また明日ね、バイバイ』って今にでも聞こえてきそうな優しい優しい笑顔だった。

そんな沙都に・・ただただ・・謝るばかり・・。

ごめんなさい・・沙都・・


ごめんなさい・・。