「・・先生・・随分部屋スッキリしちゃったね・・?」

私は先生の部屋を見渡しながら少し寂しげに言った。

元々余計なものがない部屋だったのに片付けられたことによってさらにガランとした感じになっている。

「さすがに300キロ離れた場所にはすぐに忘れ物をとりには帰られないからな」

笑いながら先生はそう言う。


これから先生が行く場所はここから300キロも離れた土地。

簡単には会いにいけない。

ホントは休みの度に会いにいきたい。


「先生、私がんばるよ。受験が終わるまで先生には会いにいかないよ!」

精いっぱい笑顔で決意を口にした。

「・・わかったよ。そのかわり必ず一発合格しろ!浪人なんかしてみろ、タダじゃおかねーからな」

私に負けないくらいの笑顔でいつもの先生になった。


「わかってるよー!じゃあねー、私が一発で合格したら・・」

「・・・『したら』・・なんだよ・・?」

先生は私の交換条件のような口調にさっきの笑顔が少し引きつりだした。

私は先生の耳元で小さく言った。




「お嫁さんにして?」