先生のそんなセリフに一瞬静まり返った。

「・・・」

「フン・・」

先生は純平くんを乱暴に放しその場を離れようとした。

そしてずっとへたり込んでいた優ちゃんの頭にそっと手をやり、優しく微笑んでまた歩き出した。

「先生・・・」

優ちゃんの目からどっと涙がこぼれだした。

先生の今したことが優ちゃんをどれだけ救ってあげただろう・・。

もう優ちゃんは悪夢から解放されたに違いない。


「くそっ、アイツおもっきり掴みやがった・・」

あ、そういえば純平くん・・。

「大丈夫だった?痛そうだ・・ね・・」

ホント痛そう・・・。なんだかアザにでもなりそう・・。


「先輩・・うれしそうだね・・・」

「えっ、い、いやっ、そんなコトないよ!!」

純平くんは横目に恨めしそうな顔で私を見た。


ごめんっ、純平くんっ。

そんなコト・・大有りだ・・。

嬉しくて仕方がない・・。

だって、先生のあんなセリフ初めて聞いたんだもん。

号外でもつくって世の中に配り回りたいくらいだよ。


「・・・悔しいけど・・妙に説得力のあるセリフだったなぁ・・・」

・・・・悔しいけど・・私もそう思う。









そして穏やかな日が続いた。

晴れたり曇ったり雨が降ったりを繰り返して、ついに先生がこの学校を去る時がやってきてしまった。

中途半端な時期の転勤にも生徒は別にイチ教師の事情なんて気にするはずもなく・・。


「先生ーっ。よその学校に行っても元気でねーー」