「あすか・・もう教室に戻らないと・・次の授業には出ろ」

先生は・・私の恋人でもあるけど・・私の先生でもあるんだ・・。

私も先生の恋人であるけど・・先生の生徒なんだ・・。

教室に戻れと言われたことがそのことを強く感じた。

いつも言われていることが今こんなにも私に重くのしかかる・・。


「じゃ・・行きます・・」

私は先生に言われた通りに教室に戻ろうと化学準備室のドアに手を触れた。

「あすか!」

先生はドアに触れた私の手を取りそのまま抱きしめた。

「ごめん・・あすか・・」

そんな先生の行動に私は驚きでいっぱいだった。

先生が・・こんなことをするなんて・・。

少なくても今私を必要としてくれていることがたまらなくうれしい。


「あすか・・これ・・渡し忘れてたんだけど、お前の誕生日のときに買ったヤツ・・」

先生はそう言うと白衣のポケットから小さな箱を出して私に手渡した。

「先生・・こんなの用意してくれてたの・・!?」

ずるいよ・・こんなの・・うれしすぎてまた泣いちゃうよ・・。

私、あのとき誕生日を覚えていてくれるだけですごくうれしかったのに・・。

「本当はすぐ渡すつもりだったけど、なんかタイミング悪くて・・」

「ううん!!すごくうれしいよ、私・・」

先生は優しく笑ってくれた。


「あ、もう行かないと遅れるから・・」

先生はそう言って私を教室へ帰した。


いまのこの時間・・いろんなことが頭を駆け巡った。

悲しいこと、不安なこと、うれしいこと・・。

まだ自分の気持ちが複雑で・・。