「俺は教師だし、お前は教え子だ・・。でもアイツは違う。お前と同じ立場で恋愛をしていける。堂々と街中をデートだってできる。そう思うと俺はお前になにも言ってやることができなかった」


・・もしかしたら教師と生徒の壁を私以上に重く受け止めていたのは先生の方なのかもしれない・・。

先生の立場は私なんかよりもずっと重くて・・ずっとリスクが高いはず。

それなのに私は・・自分のことばかりだった。


「お前のことをあれだけ取り乱すほど不安にさせたのは・・何にも言ってやれずにいた俺だってこともわかってた。冷静になれなくてあんな方法しか考えつかなかった・・」

もう先生の表情は自己嫌悪でいっぱいだ。

私は思わず先生のことを優しく抱きしめた。

うなだれていた先生はまるで私に甘えるように・・抱きしめかえしてきた。

かすかに薬品の匂いがする先生の白衣・・。

洗濯したての私の制服のシャツと重なる。



「あすか・・」

先生は私に抱きついたままの状態で話を続けた。

「なに・・・?先生・・?」


「・・・俺・・この学校を離れるよ・・」


それは突然の・・衝撃の発表だった・・。

私は体中を電流が走ったかのような衝動に駆られた。