けど・・・。

私は気付きたくなかったことに気がついてしまったんだ・・。

「・・・」


私・・・


先生に『好き』って一度も言われたこと・・ない・・。


「先輩・・?」

確かに一度も言われたことない・・。

こんなことに今まで気がつかなかった・・。


「・・先輩・・今幸せなの・・?」

純平くんは突然会話の途切れた私の顔を覗き込みながら言った。

「も・・もちろん幸せだよ・・」

そう・・

たった数分前までは幸せで・・この1年はハッピーになること間違いなしと思ってた・・。


先生の気持ちを疑うなんてこと・・考えてなかった。


「ねぇ、先輩?今幸せだなんて言うんだったら・・・どうして泣いているの?」

「え・・」

言われるまで私の不安が涙になって出てきていることに気がつかなかった。

私は急いで涙を拭った。


「ちっ、ちがうよ!涙とかそんなんじゃないから!!」

私は動揺しながらも必死にこの場を繕う。

純平くんはそんな私のことなんかおかまいなしに情熱的に抱きしめてきた。


「ちょっ、純平くん!!」

私なんかの力が及ぶわけでもなく振り払おうとした手の力が抜けていった。

「オレだったら先輩のこと泣かしたりしない!!今つきあってるヤツより先輩のこと好きだしずっと笑顔にしてやれる!!」


彼のまっすぐでストレートな言葉が胸に響きすぎて手の力どころか全身の力までもが抜けていった・・。