純平くんがボソッとつぶやいたひと言に私も過剰に反応してしまった。

先生って・・・。

私は思わず急いで後ろを振り返った。


「あ・・!」

そう、まぎれもなく・・白衣を着た久住先生だった。

ありえない・・学校には何十人と先生がいるのによりによってなんで・・先生が・・。


私はもうあまりの出来事に目の前が真っ暗になってその場にへたり込んだ。

「先輩・・」

そんな私に純平くんが手を差し伸べてくれた。

そして私の目に映っていた優ちゃんは走ってその場から逃げていってしまった。


優ちゃんの目には涙がいっぱいたまっていた・・。


「優ちゃんっ!待ってっ!」

私は叫ぶことができても追いかける気力が残っていなかった。

そして私の後ろから足音が近づいてくる・・。

先生が・・・私に近づいてくる・・。

怖くて後ろを振り返れない・・。

先生は今何を思っているの・・?

怒っているの?

呆れているの?

いっそのこと今ここで私のことをなじってほしい・・。


うつむいたまま純平くんの顔すら見れない・・。

そしてそんな私を無視するかのように先生は通り過ぎていった。

「おい、お前ら・・そういうことは廊下でするな」

と、先生としての立場上一応の注意をしてそのまま去っていった。

顔もいつもの涼しげなまま・・。