その頃秋葉はクルクルに巻かれたその紙を、慎重に取り出した。
中身を開いてみる、と同時に要が勢い良く屋上の扉を押し開けた。

「何見つけたの!?」

かなり興奮気味の要に気圧されながらも、秋葉は答える。

「いや、まだ見てねぇから、何かは分かんねぇけど……」

するとそこへ由希とあかねも戻って来た。
3人はコレを見つけた経緯を聞くと、4人で目線を合わせてから、その紙を秋葉が開いた。

その紙には、こう書かれていた。




  ゑ
   二階のかい堂ゆくと中、学ぶこともおおかれど。
   陸にうちあげられた、うつくしひ貝をひらうごとく、高みをみるならば。
   南にゆかん、さすれば春にであひ、枝にはなありけり。
y。 
            k.s.k.r.k.d。
              


「なんだこれ?」

秋葉が始めにそう呟いて、首を傾けた。
続けてあかねと由希も首をひねる。

「さあ? おみくじかなんか?」

「……なんだろうね?」

すると、要は顎に手を当てて

「ふうむ……」と悩んだ後「これってさぁ……」とあかねに向かって切り出した。

「普通に訳したらどういう意味になる?」

「う~ん……多分だけど、二階にある会堂にいく途中にも学ぶ事は多いけど、美しい貝を拾った時のような心の美しさが欲しいなら、南にいけ。そうすれば得られるだろう。みたいな意味だと思うけど……」

不安そうに唸りながら答えたあかねに、秋葉が珍しそうに笑った。

「なんだよ。歯切れが悪いな」

「だって、仕方がないじゃない。会堂のかいは、ひらがなだから本当に会堂で良いのかも分からないし、そもそも、二階のかい堂ゆく途中っていう文も、陸にうちあげられた、うつくしひ貝をひらうごとく、高みをみるならば。っていう文も何だかおかしいし……」

お手上げ! と言うようにあかねは片手を軽く上げた。
すると秋葉が難しい顔をして、あかねに訊ねる。

「つーかさ、そもそも会堂ってなんだ?」

「会堂っていうのは、集会に使うための建物や、キリスト教の教会堂のことよ。この場合、後者のことを指してるんだと思うわ」

ほう……そうなのかと、秋葉が納得する前に、要が先に呟いた。

「なるほどねぇ」

「おいおい、俺のセリフ取るなよ」

秋葉が苦笑いしながら要に突っかかると、頭をひねっていた由希が口を開いた。