その後4人は屋上へと向った。

カンカンカンと音が響く階段を上ると、ギイイーと嫌な音をたてる古びた扉を開け、広々とした屋上に出た。

要は一にもニにも呉野が落ちた場所を探した。
下を覗きながら、落下地点と重なる場所を探し出した。その場に立ち止まると、唇に手を当てて何かを考え始めた。
そんな要を3人は静かに見つめる。

「う~ん……」

うなり声を上げた要に、あかねが「何か探してるの?」と問いかけた。

「もしかしたらあるかなぁ? と思ったんだけどね」

「何が?」

「呉野幼子のダイイングメッセージ! 誰かに突き落とされたんなら、何か残してるかなぁと思ったんだけどね~」

言って肩をすくめると、由希が「殺人未遂の場合にもダイイングメッセージって言うの?」と、誰にも聞こえないように独り言のようにぼやいた。

「さあ?」

要はそのぼやきにわざわざ答えた。
するとあかねは、キョロキョロと不思議そうに由希と要を交互に見た。

「え? 何? 由希何か言ったの?」

問われた問いには答えずに、由希は顔を引きつらせながら、ぼやく。

「……要って、本当に耳が良いんだね……」

そのぼやきにたいしても要はわざわざ返事を返した。

「まあね」

そんな2人を不思議そうに見て、あかねは話を変える。

「まあ……無かったんなら帰りましょうよ。あったとしても、警察が持っていちゃってるわよ」

あかねがそう言って、あかねと由希は屋上を出た。

要は渋々2人の後を追う。秋葉も要の後を追おうと歩き出そうとした、その時目尻の辺りに、白い何かが映り、それが気になった秋葉は顔を左に向けた。

すると秋葉の目は完全にその白い物体を捉えた。
それは紙のようで、屋上の出入り口の壁が一部剥がれ落ちていて、その部分に埋め込まれていた。

「おい、何かあるぜ」

呟くように秋葉が言うと、すでに階段を下りている要の耳がピクリと動いた。