「って言いながら、今にも破りそーなんだけど?」


和香ちゃんは九条くんを指差してニヤニヤしてる。


「名乗るつもりないなら、イニシャルも書くなっつの。実は捜して欲しーとか?」


九条くんは封筒を舐めるように見て、それからあたしに返してくれた。


「そういうんじゃないと思う。あたしを勇気づける言葉しか書いてないし…」






「心配だなー。男だったら…」


「もー、ホント心配性なんだから。手紙の一つや二つで亜美ちゃんの心は動かないから!それにこの丸文字に手紙なんて、絶対男じゃないって」


和香ちゃんが九条くんにフォローを入れてくれると、九条くんも渋い顔をしながら軽く頷いていた。