私は美和ちゃんの病室を訪ねた。

「あら、お兄ちゃんは今いないよ。」


「美和ちゃんに用があってきたの。」


「え?なに?」


「精神安定剤ある?」


「…あるけど…」


「それ飲んで私の話を冷静に聞いて。」


「うん…なんなの?」


「私…依瑠が好きなの。」


「えっ?」


「だから…私たちが付き合うの認めて?」


「いや…いや…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「美和ちゃん!」


「こ…こないで…お兄ちゃんは私のもの…誰にも渡さないんだから…。」


「2人は兄弟でしょ?付き合うなんて無理に決まってるわ。」


「違う…私とお兄ちゃんは血は繋がってないの。他人も当然よ。」


「戸籍上兄弟じゃない。」


「そんなの関係ない。お兄ちゃんは私のもの…誰にも渡さないんだからぁぁぁ!!」

「美和っ!!」


「し…柴崎…。」


「美和…落ち着け。俺はお前のものだ。どこにもいかない。」


「柴崎…」


「忠告しただろ?美和の前でそんなこと言うなと!」

「柴崎!」


「佐山…?なんでここに…」

「バカね。恩返しのために愛する人を犠牲にするの?」


ズキ…

柴崎の表情が固まった。