「…たしかに、俺はお前をここまでつれてきた。」


「やっぱりそうでしょ?ならなんで否定したの?」


「美和は精神的に不安定なんだ。」


「え?」


「もしかしたら、妙な考えをしてしまうかもしれないんだ。」


「それって…死ぬかもしれないっていうことなの?」

「あぁ…だから俺は誰も愛する資格はない。」


「なんでよ…なんで柴崎がそんな思いをするのよ。」

「俺は養子なんだ。両親に恩返ししたい。」


「美和を死なせたら…また両親から捨てられるかもしれないだろ?」


「そんな…。」


「だから…美和の前であんなことは言わないでくれ。頼む…」


「…私っ…」


思わず涙が込み上げる。


好き…大好き…
好きなのに…

気がつけば私は柴崎を抱きしめていた。