夜中だからだろうか、この通りに人は見当たらない。

ここの人に道を尋ねようかな。



「あのぅ……すみません。」


恐る恐る声を出すけど、反応する物音は何ひとつ無い。

建物の中は薄暗く、少々不気味だった。


「すみませーん。」


先ほどよりも大きな声で呼ぶけれど、返事は無い。

……あがっても、大丈夫だよね?


少しずつ、話し声がする方へと歩みを進める。

どうやら、建物の二階から声はするようだ。

ゆっくりと階段を上る。


「一応、声はかけたんだもの。」


そう自分に言い聞かせる。

登りきると、襖の隙から光が漏れる部屋を見つけた。

そこから声が聞こえている。