しかし……………その考えは甘かったんだと思う。

私にある情報は、私は“緋月 静乃”という名前であることのみ。

それだけで、探し出せるわけないのに。

私はもう、諦めた。

京の都を明日去り、家のある江戸に戻る。

今、私が夜の都にいるのはただの好奇心だけ。

どうせ明日去るのだから、という。






この一週間、私の身に特に危険はせまらなかった。

だから私は安心しきっていたのだと思う。

けど、その甘さが悲劇を呼んだのだった。

ここはけして、安全な【京の都】ではないんだと…。