「なに?」

『実は……………』


紗枝は、うっすら涙を浮かべながら。

沖田さんに、まるで呪文のように怪我のことを話ていく。


それを、私は黙って見ることしかできなかった。

「ね。酷くないですか?」


「…………。」
何も口にしない、沖田さん。

そりゃ、驚くよね。

いつかは知ってしまうことって。
分かってたけどさ。


沖田さんだけには、私から話たかった。

それは誤解だよって。
私を信じてって。



言いたかったよ……。

沈黙が続く中、私はまた涙が出ていることさえ気づかなかった。