わたしは、いそいで靴をはきかえて その現場に行く。
それに最初に気づいたのは、綺姫だった。

「あ 結愛ー 今あんたの好きな人に事情聴取なう」


まったく展開が読めない。
そして綺姫は、またたっくんの方に向き直り

「早く結愛に返事出しなさいよー いっつも不安で不安で待ってる結愛の気持ち考えてんの」

綺姫。
わたしが不安がってること気づいててくれたんだ。

たっくんは、そんな綺姫の言葉を聞き横目でわたしのことを見ると、小さくほほ笑んだ。

そして、たっくんは決心したようにまだ展開の読めないわたしを見つめていた。
そして、そのまま少し歩きだすと、ふりむいて

「ほら 帰るぞ」

って。
キュン死寸前。

めっちゃめっちゃめっちゃかっこよかった。

しかし 意味のわからない自分。

「え え え え え え」

そんなわたしの姿を見て、綺姫たちが後ろから後押し。

「結愛 がんばって 応援してるよっ」


って そう言った。
そのまま たっくんに手をひっぱられ、一緒に帰ることに。

嬉しいのに嬉しいのに 素直になれない。
話したいのに言葉が出てこない。
ずっと黙ったままだ。
そんな沈黙を破ったのは、たっくんのほうだった。

「なぁ なんでそんなにだまってんの。 俺のこと嫌い???」

まただ。
また あの時のような感情。
低くて甘い声でそう言ってくる。
そんなたっくんにまた惚れてしまう。


わたしたち2人が歩く少し前を、ひやかし組が歩いてる。

で 本題に入る。
告白の返事はどうなんだろう。

たっくんは、なかなか話そうとしない。

その空気に耐えられなくなって、わたしから聞いてみた。

「たっくん。 どうするの。 ・・・・ ふるんでしょ?」

とまどった顔をしていた。
でも 決心はついている表情だった。

「俺。 お前とはずっと友だちがいい。 ずっとずーっと。」


たっくんは、遠まわしに自分の思いを伝えてくれた。
わたしをなるべく傷つけないようにと選んでくれた言葉。

「なんではやくいってくれなかったの???」

「だって。 かわいそうじゃん。 お前が。 傷つけたくなかったし。 でも俺 超嬉しかったよ」